水中受粉の妙技
7月中旬の大潮の日にその妙技はくりひろげられました。披露するのはウミショウブ
という海草の受粉です。NHKのTVでも西表島のそのシーンが紹介され毎年夏の大潮
時にはそれを見にやって来る人が多くなってきました。石垣島でも見れることは意外
と知られてないようです。
まだ潮の高い午前中わずか3mmほどの白色の雄花が海底付近から次々と浮き上
がり水面に漂います。まだ閉じている花びらは、風や波で漂いながら水面から顔を
出した葉などに接触すると、刺激を受けたかのように花びらがゆっくり反り返ってゆき
最後はパクット一瞬のうちに完全に花びらが水面に立ち上がります。その間、5、6秒
ほど。通常の植物でこんな短時間に花びらが開く瞬間を目の当たりにすることはない
ので実に興味深いです。
昼近くなると潮がどんどん引きはじめ水面上のあちこちに雌花が花開いて雄花を待ち
受けます。風や波にまかせてすいすいと優雅に漂っている雄花は、吸い寄せられるか
のように雌花に捕らえられて受粉が成立するのです。
海でこのような受粉をするのはウミショウブだけだそうです。貴重ですね。
今月の大潮が今年最後の受粉と思われるので楽しみです(ケン)。
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